ピラミッディング手法とは?

ピラミッディング手法とは、戦略的に保有ポジションの増減を行うことで投資利益を最大限に増加させるポジション管理手法、建玉操作法のことを指します。
ポジションの増減する模様を可視化して、ピラミッドに例えたことから、ピラミッディング手法と呼ばれています。
ピラミッディング手法は、テクニカル分析を数多く発見・研究した名トレーダーである「W・Dギャン*」氏が最初に考案したのではないかと言われています。
現在保有しているポジションと同じ方向へ相場が動く事を予測し、ポジションの増加をおこなうというのが、最も有名な考え方です。日本においては、買いまし、売りまし、増し玉といったような表現でよく使われています。
*「W・Dギャン」……ウィリアム・ディルバード・ギャン。テクニカル分析の始祖と呼ばれる、アメリカの著名投資家。生涯のトレード勝率は8割以上であったと言われている。
4つのピラミッディング手法

① スケールダウン・ピラミッディング
リスク:低
おすすめ度: ★★★★★
スケールダウン・ピラミッディングは、最初に購入したポジションから、次第にロット数を減らしながら買いまし、売りましを行って大きな利益を狙うトレンドフォロー型のトレード手法です。
4つあるピラミッディング手法の中で、最も基本的な手法として知られています。日本では、垂直型ピラミッディング、規模積み増し型ピラミッディングとも呼ばれています。
<ポジションの購入方法>
- 1回目:60ロット
- 2回目:30ロット
- 3回目:15ロット
スケールダウンピラミッディングでは、最初に購入したポジションから、徐々にロットの数を減らしながら増し玉を行なっていきます。中でも最も有名な資金配分の手法は、前回購入したロットの2分の1を購入していくというものです。
利益の最大化を狙いながらも、相場は一方に動き続けることはないという原理原則に従っている手法となっています。そのため、利益の最大化を狙うピラミッディング手法の中では、最もリスクの低い手法です。
② イコールポジション・ピラミッディング
(長方形型ピラミッディング)
リスク:中
おすすめ度: ★★★☆☆
イコールポジション・ピラミッディングとは、最初にポジションを購入した資金と、同量の資金で再度ポジションを取っていくという手法です。
イコールは、”=”なので、覚えやすいですね!日本では、同規模積み増し型ピラミッディングと呼ばれることもあります。
<ポジションの購入方法>
- 1回目:30ロット
- 2回目:30ロット
- 3回目:30ロット
イコールポジション・ピラミッディングでは、その名前の通り、最初に購入したロットと同量のロットを再度購入していくことで、さらなる利益の増大を予測します。
イコールポジション・ピラミッディングは、スケールダウン・ピラミッディングと比べると、相場が思い通りに動いた際の利益は大きく、ややリスクの高い手法となっています。
ドル・コスト平均法と似ている考え方であることから、使い道は似ていると言えるのではないでしょうか。
③ 逆ピラミッディング(逆三角)
リスク:高
おすすめ度: ★☆☆☆☆
逆ピラミッディングとは、最初に購入した購入ロットから、徐々に購入するロット数を増やしていくといった手法です。スケールダウン・ピラミッディングとは真逆の考え方ですね。
初回の購入時はお試しの試し玉として少量ロットを購入し、相場が思ったように動いた場合、2回目、3回目と購入していく際に、徐々にロットを増やしていきます。
<ポジションの購入方法>
- 1回目:30ロット
- 2回目:60ロット
- 3回目:90ロット
逆ピラミッディング手法は、ピラミッディング手法の中では最もリスクの高い手法であると言われています。
しかし、トレンド初期を見極めるための手法としては逆ピラミッディングの手法はとても有効です。かのジョージ・ソロスも逆ピラミッディング手法を取り入れていた時期があったと言われています。
教科書通りに解釈すれば、リスクはとても高い手法と言われていますが、それは使い方や技量にもよりますね!
④ リフレクティング・ピラミッディング
リスク:低
おすすめ度: ★★★★☆
リフレクティング・ピラミッディングでは、初回の購入ロットから2回目・3回目とロットを追加する際にはそのロット数を増やし、その後購入するロット数を減らしながら、ポジションを解消していくといった手法です。
<ポジションの購入方法>
- 1回目:30ロット
- 2回目:60ロット
- 3回目:90ロット
- 4回目:90ロット
- 5回目:60ロット
- 6回目:30ロット
リフレクティング・ピラミッディングは、スケールダウン・ピラミッディングと逆ピラミッディングの2つの手法を取り入れた、応用型の手法となっています。
保有資金を細かく的確に配分していくことが要求されるため、技量が求められる手法と言われています。また、同条件下で取引を行う場合、他のピラミッディング手法よりも複雑性が増し、より強固な資金力が求められています。
リフレクティング・ピラミッディングを行う場合は、スケールダウン・ピラミッディングと逆ピラミッディングのどちらもうまく使いこなせるようになっている必要があるのではないでしょうか。
名トレーダーたちに愛される、ピラミッディング手法

ピラミッディング手法は、伝説の投資集団と呼ばれたタートルズや、伝説の相場師としてうたわれるジェシー・リバモアなども取り入れていたとされている手法で、世界中で多くの名トレーダーたちに愛用されている手法です。
現代においても、ピラミッディング手法は数ある建玉の操作手法の中で大変優れているとされており、上手に活用することができるようになれば、利益の大幅な増大が見込まれます。
ナンピン手法とは何がちがうのか?
ピラミッディング手法が利益の出ている方向に追加で建て玉を行うのに対して、ナンピン手法は、損失の出ている方向に追加で建玉を行う手法です。
ナンピン手法はエントリー時の手法であり、ピラミッディング手法はエントリー後の手法と分別することもできますね!
ナンピン手法とピラミッディング手法は、複合的に活用することも可能です。自分のトレードスタイルに合わせて使いこなせるようにしていきましょう。
まとめ
ピラミッディングは伝説の投資家たちも愛した効果的な手法で、自分のトレードスタイルに合わせて利益を最大化するために、誰でも活用することが可能です。
しかし、他のトレード手法と同様に、一朝一夕で使いこなせることができるようになるかというと、その可能性は非常に少ないです。
自分のトレードスタイルに合わせて使いこなせるように、しっかりと練習していきましょう!