FX、株式投資にはさまざまなアノマリー手法というものが存在します。
FXにおいてアノマリー手法とは、不規則な値動き、原則からは説明できない値動きを利用する手法のことを指します。
アノマリー手法を理解して味方につけることで、FXの勝率を格段に上げていくことができると言われています。今回は、さまざまなアノマリーについて一つ一つ解説をしていきたいと思います!
- 1. 「アノマリー」の定義を再確認してみよう
- 2. A.季節や月のアノマリー
- 3. B.日、週ベースのアノマリー
- 4. アノマリー手法は勝てる?勝てない?
「アノマリー」の定義を再確認してみよう
さまざまなFXや株式投資の勉強本で「アノマリー手法」「アノマリー投資」というものが登場するため、勉強を始めた初心者の方が割と早い段階でたどり着くのが、この「アノマリー手法」ではないかと思います。
まずはじめに、「アノマリー」とは何なのかを確認していきましょう!
アノマリー(英: anomaly)とは、ある法則・理論からみて異常であったり、説明できない事象や個体等を指す。科学的常識、原則からは説明できない逸脱、偏差を起こした現象を含む。すでに説明できるようになった現象でも、アノマリーあるいは異常という名称がそのまま残ったものも多い。
https://ja.wikipedia.org/wiki/
上記のウィキペディアの記事によると、アノマリーについての理解が深まりますね。
つまりアノマリー手法は基本的には、「説明できないこと」「偏差を起こした過去の事象」を指すのです。説明できないことを説明しているアノマリー手法を利用して、必ず勝てるはずはありませんよね 笑。説明できないんですから、誰かが手法として説明してる時点で間違っています。
追記して「説明できるようになった現象でも、アノマリーあるいは異常という名称がそのまま残ったもの」という記載があります。つまりアノマリー手法を利用する上で、「説明できないことを説明している」のか、すでに「説明できるようになった現象」なのかを定義することは必須事項となりますね。
あなたの利用するアノマリー手法は、「説明できないことを説明している」のでしょうか?それとも、「説明できるようになった現象」を説明しているのでしょうか?
どちらであるかが明確に分からないのであれば、「アノマリー手法」を利用してトレードすることは絶対にNGです。
あくまで相場のファンダメンタル、空気感を掴む上での参考程度にとどめておきましょう。「アノマリー手法」という概念が存在する以上は、少なからず世界のどこかで誰かが「アノマリー手法」に影響されてFXや株式投資をしています。信じられない手法だからといって、相場の変動の要因となり得る知識を全く無視はできないですからね。
A.季節や月のアノマリー
アノマリー手法の中には、「5月は〇〇になる!」とか、「8月は〇〇になる!」のように季節や月に絡むさまざまな要因によって、上がりやすいとか、下がりやすいとか言われているものがあります。
アノマリー手法のジャンルの中でも、この季節や月に要因するアノマリー手法は昔から言い伝えられている伝統的なアノマリー手法です。それぞれのアノマリー手法にはさまざまな考え方があるので、早速詳細を見ていきたいと思います!
① 1月効果
1月効果では、1月の前半〜中盤にかけて株式市場が上昇すると言われているため、株式市場につられて為替も動きやすいと言われています。
その理由は、大口投資家や機関投資家にあると言われています。
12月から年末にかけては、税金対策を踏まえて損失の確定売りをしやすい傾向にあり、その買い戻しが入るのが1月前半〜中盤と言われているためです。この現象のことを、「ウィンターブレイク」と呼びます。
また、正月シーズンはFX市場が休場するよりも先に会社がお休みに入るため、大口の証券会社やヘッジファンド、銀行、保険会社などの取引が少なくなり、薄商いになるとも言われています。
1月効果を解説!
1月効果では1月基本的にBuy(買い)と言われていますが、「1月だから上がる」というのは相場の仕組み上どう考えても確実ではないので、絶対に考えてはいけません!上がるかもしれないし、下がるかもしれないですね。
たまに投資本などで「1月は統計上50%以上の確率で上がっている」などと書いてある場合がありますが、どの期間で区切るかによって統計というのは全く変わってきますし、あくまで過去の事象の統計を取ったところで無意味であるということを理解しておく必要がありますね。
しかし1月は世界的にもニューイヤーであり、節目の月として意識されていることは間違いありません。また、正月休みのような薄商いの際は、売り玉も買い玉も少なくなるため、相場が不意に今までと違う大きな動きを見せることがあります。短期〜中期のポジションを保有しているのであれば、気をつけておく必要がありますね!
② 節分天井→彼岸底(2,3月のアノマリー)
節分天井・彼岸底は主に日本の株式相場で有名なアノマリーです。FXにおいては、円は主要通貨の1つであり、アメリカと濃い関係を持つ国の一つです。日本の株式相場の状況は、対円のペアだけでなく、他の通貨にも影響を及ぼしやすいと言えるでしょう。
「節分天井」は、節分の時期である2月上旬までは1月効果の影響が続いて相場が上昇すると言われています。「彼岸底」ではその反動を受けて、3月彼岸の企業決算期ごろまで相場が下降すると言われているアノマリーです。
節分天井・彼岸底を解説!
節分天井・彼岸底は、多くの投資教本でもあまり当たらないと言われています。全くその通りで、節分だから上がる・彼岸までにその反動で下がる。などと断言することは不可能です。
2月・3月に何が起きるかなんて当てられっこありません。首相が体調不良で寝込んでしまい株価に影響を及ぼすかもしれないですし、いきなり大地震が来るかもしれないです。世界中で起こるさまざまな要因が原因で市場は動きます。「2月だからこうなる」「3月だからこうなる」というのは議論するだけ時間の無駄でしょう!
対円のFXにおいては、2月〜3月に社内為替基準値を決める輸出企業が多いと言われているため意識しておいて損はないですね。
③ スーパーボウル(2月のアノマリー)
スーパーボウルとは、アメリカン・フットボールの最高大会であるNFL(ナショナル・フットボール・リーグ)において、NFC(ナショナル・カンファレンス)と、AFC(アメリカン・カンファレンス)のどちらが勝つかによって、相場が変動するというアノマリーです。
分かりにくいという方は、日本プロ野球で言えばセリーグか、パリーグか、どちらが勝つかで相場がどちらに動くか予想しているというイメージをしていただけると分かりやすいと思います。
NFCが勝利→その年の米国株が上昇
AFCが勝利→その年の米国株が下落
というのがスーパーボウルのアノマリーです。
スーパーボウル理論を解説!
想像していただくと分かる通り、スーパーボウルは相場とは全く関係がありません 笑。
しかし、1970年〜1997年までの27年間はこのアノマリーが約85%の確率で的中していたというので驚きです。その後の的中率は下降して現在は的中率50%を切っているようですが、アメリカ市場を見る上では語らなくてはならないアノマリーの一つですね。
インターネットでSNSや掲示板が発達した現代では噂や憶測が広まり、その噂や憶測が世界中の人の耳に入り、相場に影響します。スーパーボウルが相場には関係のないことだからと言って侮ることはできないですね!知っておくに越したことはありません。
④ 花見ラリー(3月のアノマリー)
花見ラリーとは、2月〜3月下旬,4月頃までは比較的相場が上昇しやすいという、日本の株式市場のアノマリーです。
花見ラリーの根拠としては、第3四半期決算を終えた日本企業が、3月,4月の本決算に向けて期待が高まりやすくなって買われると言われています。また、3月の配当取りの需要が高まりやすいことや、2月の閑散期は売り玉が出にくいことなども要因になっていると言われています。
花見ラリーを徹底解説!
3月は年度末ということもあって、日本の上場企業の多くが本決算期を迎えます。FXにおいても、外貨を円に変える需要が多くなり円高要因となると言われています。
必ず花見ラリーのアノマリーのような値動きをするとは限らないですが、理論としては理にかなっているアノマリーの一つなのではないでしょうか。
当然絶対ではないので、決算期に向かって必ず株価が上昇していくということはあり得ません。下がることも当然あります。しかしこの時期は、FXの相場やチャートばかりに集中してしまうのではなく、特に株式相場の情報収集に力を入れてもいい時であると言えますね。
株式相場とFX相場は表裏一体。片方だけを見るのではなく、相互の関係性をきちんと理解しておく必要があります。
⑤ 4月効果(新年度効果)
4月は日本の多くの企業の決算が終わり、円安に振れやすいというアノマリーがあります。また新年度となる4月には、新規投資の資金が市場に流入し株高になりやすいとも言われています。
また、米国では4月中旬の確定申告の時期に向けて、節税対策に株が売られやすい時期でもあると言われています。中国では、社債の償還日を3月,4月に設定している企業が多いのでそちらも注目ですね!
4月効果について解説
4月のアノマリーは、アノマリーというよりは日本の相場の先行きを想像するために必要なイベントが出揃い、データが4月に集まるのだと言えますね。4月だから必ず日本の株式市場に資金が流入して相場が上昇するとは当然限らないですが、決算を終えて今期の新規投資予算を決定し動き出す企業も少なくありません。
5月に控える「セル・イン・メイ」のアノマリーや確定申告シーズンが気になる米国の投資家も少なくないはずです。また、日本ではゴールデンウィークや迫り来る夏を前にしてさまざまなニュースが流れて相場が変動しやすい時期でもあります。
「4月だから買う。」という4月効果をもとにした判断はあり得ないですが、そのようなアノマリーがあることを頭の片隅には入れておいたほうが良さそうですね。一応知っていて損はありません。
⑥ Sell In May(セル・イン・メイ、5月に売れ!)
米国が起源で、世界的にも最も有名なアノマリーの一つです。セル・イン・メイの名の通り、5月は売った方がいいですよというアノマリーです。
セル・イン・メイと必ず対にして覚えなくてはいけないのが、「10月は相場に戻ってこい(ハロウィン相場)」というアノマリーです。5月に売ったら、10月にまた相場に戻って来ましょうといわれています。
これは1年を半年ごとのサイクルに分けた時に、
5-10月→下落トレンド
11月-4月→上昇トレンド
というサイクルになると言われ始めたことから出来たアノマリーと言われています。
他のアノマリーも含めて検証すると、5月から10月は、夏場に材料が欠けやすいことから売られやすいと言われ、年末年始から春頃にかけて、相場が上がりやすいと言われています。つまり、その他の季節的なアノマリーの内容を含めて1年全体の総合的なアノマリーのサイクルを説明しているのが、この「セル・イン・メイ」なのです。
セル・イン・メイを解説!
セル・イン・メイはあくまで、噂話程度だと考えておいたほうがいいです。5月から夏にかけて、何が起きるのかは誰にもわかりません。最も有名なアノマリーの一つということもあって信じる人が多いのもこの「セル・イン・メイ」ですが、過去のチャートを見ても、5月に相場が下落するとは断言できないことが分かると思います。
しかし、前述のような理由もあって5月は株が売られやすい傾向にあるということは言えるでしょう。株式相場が動けば、FX相場もつられて動きます。
盲信的にセル・イン・メイを意識する必要は全くありませんが、頭の片隅においておきましょう。実際に5月から下落が始まればやっぱり「セル・イン・メイ」だった!と騒ぎますし、もしも5月から上昇が始まれば「セル・イン・メイ」は外れた!いつ下落がくるんだ!と騒ぎますね。どちらにせよメディアは盛り立てるのです。
⑦為替は1月・5月・8月に動く
為替は1月、5月、8月に動くというアノマリーがあります。これは日本の為替のアノマリーです。1月は正月、5月はゴールデンウィーク、8月はお盆があり、商いが少なくなります。
市場が薄商いとなるため、価格が変動しやすいのではないか?というアノマリーですね。こういった薄商いの時期に相場を大きく動かすような事件が発表があると、お休み明けに相場は収束する可能性がありますが、この休みの期間は変動が顕著に相場の数字に表れてくるのです。
為替は1月・5月・8月に動くを解説!
このアノマリーは、興味深いアノマリーの一つです。必ず相場が大きく動くとは限らないですが、薄商いの時は売り板も買い板も少なくなり、突発的なきっかけ一つで相場が大きく動くことは間違いありません。
お休みに入る際は、お休みに入るなりの対策をしておく必要がありますね!
⑧夏枯れ相場(7,8月のアノマリー)
名前の通り、夏はサマーバケーションを取得するファンドや企業が多く、FX市場、株式市場共に閑散とした状態になってしまうというアノマリーです。
5月のセルインメイ以降、サマーバケーションを前にして投資家たちがポジションを調整するために手放すことから、相場は下落する傾向があると言われています。
夏枯れ相場を解説!
夏枯れ相場は、確認しておくべき大切なアノマリーの一つです。ファンドや企業がサマーバケーションに入ってしまうことは事実ですし、世界中のほとんどの国の投資家が共通認識で動きます。
必ず相場が下落するというわけではもちろんないのですが、その傾向にあるというのは過去のデータからも検証されていて、取引高も毎年激減します。サマーバケーションも投資をする!という覚悟のある個人投資家であればいいですが、そうでなければ個人投資家の皆さまもサマーバケーションを取るでしょう。
他のアノマリーでも同じようなものがありますが、取引高の激減するお休みの期間は、相場の価格が急激に動きやすい時期でもあります。注視して、ポジションを調整しておく必要性は高まりますね!
⑨ 市場の秋には魔物が住む(9月,10月のアノマリー)
市場の秋には魔物が住むというアノマリーは、米国の株式相場の歴史上9月が最もパフォーマンスが悪いため語り伝えられているアノマリーです。
その要因の一つとしてあげられるのが、9月のFOMCにおいて歴史上、大きな政策を出しやすいというデータが挙げられていることです。相場の先行きを大きく変えるような政策がアメリカから打ち出されれば、市場は大暴落へとつながる可能性もありますね。
市場の秋には魔物が住むを解説!
9月が、相場の歴史上大きく動きやすい月であることは、世界の投資家の共通認識であるため覚えておいたほうがいいでしょう。
9月の第一月曜日は「レイバーデー」といって、この日までがアメリカなどの外国人投資家の夏休みとなることが多いです。夏休み明けで投資家が動き出し、大きな政策発表のされやすいFOMCが控えているのも9月です。
また、日本においては3月決算の企業の中間決算の月でもあります。市場が大きく動きやすい様々な要因がスケジュール的に集まっているのが9月なのですね!
市場の魔物に秋に食われた例としては、1987年10月19日の「BlackMonday」などが有名ですね!他にも、アメリカ市場で歴史的な暴落を果たすのは秋が多いようですね。
⑩ 10月効果(ハロウィン効果)
10月効果(ハロウィン効果)は、5月の「セル・イン・メイ」と対になるアノマリーです。7月ごろからの夏枯れ相場を経て9月〜10月の魔物を乗り越えて、叩き売られて安くなったところで、買いが入ってくるのが10月末(ハロウィンの頃)だと言われています。
11月は欧米諸国ヘッジファンドの多くが決算を迎える月であり、利益調整のためにそのような現象が起きるのではないかという一説もあります。
10月効果(ハロウィン効果)を解説!
10月効果(ハロウィン効果)も、世界中の投資家が共通認識をしているアノマリーの一つですので、覚えておく必要があります。
アメリカ市場が歴史的な大暴落を果たしたブラックサーズデーやブラックマンデーも10月なので、多くの教本などでも取り上げられているアノマリーとなっています。
必ずしも相場がそのように動くというわけではありませんが、世界中の多くの投資家がこの10月効果を意識して投資を行っているため、市場に与える影響は決して少なくありません。アメリカ市場は、世界の中心といっても過言ではないです。要チェックですね!
⑪ 11月の株高
11月の株高は、10月効果(ハロウィン効果)と紐づいて、5月ごろから続いた下げ相場が一変してハロウィンのシーズンに買いが入ってくると、その勢いで上昇を続け、11月は株高になりやすいと言われているアノマリーです。
また、11月の第4木曜日はアメリカの「感謝祭」と呼ばれる祝日があり、節目として意識されているため注目が必要です。
11月の株高を解説
11月の株高は、アノマリーとして言い伝えられているものの、そこまで注目度は高くないアノマリーの一つです。
11月だからといって株価が上がることはないし、11月だからといって株価が下がることもありません。なぜなら、11月に何が起きるかはわからないからです。しかし、11月は相場全体が上向きになりやすい傾向にあるという過去のデータが出ている指標や銘柄もあります。
あくまで参考にしかなりませんが、このようなアノマリーがあるということは、少なからずこのアノマリーを信じてトレードをする人が世界中のどこかにはいるかもしれないわけですね。11月の株高というアノマリーの存在によって、相場を変動する要因の一つとなり複雑に事象が絡み合って相場は変動します。
11月は欧米企業のヘッジファンドが決算を終えて方向性を決定する時期であったり、12月の年末に向けてポジションを調整しようという人も現れるでしょう。11月は新しい方向に動きやすい時期とも言われているため、注目が必要です。
⑫ 12月の株安(12月のアノマリー)
12月の株安は、12月が多くの欧米企業の決算期であることや、年の最後であるため、利益確定やポジション調整のために売りが出やすいと言われていることを現したアノマリーです。
欧米企業によるリバトリが発生し、日本では円安欧米高になりやすい傾向があ ると言われています。また、クリスマス以降はトレーダーが休暇に入るため薄商いとなり相場が閑散とします。
12月の株安を解説!
12月の株安は、相場全体ではそのように動きやすいといわれていますが、必ずそうなるとは限らないです。なぜなら、12月に何が起きるかはわからないからです。
しかし、12月にポジション調整の手仕舞い売りが発生しやすいというのはよく言われることですので、着目は必要ですね!日本においても個人投資家にとっては、12月は締月に当たります。節税のために、あえてポジションを動かすということは皆さんもやられているのではないでしょうか。そのような動きが世界中であるというように考えるのが得策ですね。
ポジション調整のために、あえて買うということもあり得ますが、正月の長期休暇を挟みその間に何が起きるかわからないため、短期トレーダーであれば多くは手仕舞いを選択するのではないでしょうか。
B.日、週ベースのアノマリー
季節や月のアノマリーでは、年間を通した中期サイクルがありました。続いて、日〜週ベースで言い伝えられているアノマリーをご紹介して行きたいと思います。
① 月曜日の株安
月曜日の株安というアノマリーは、その名の通り月曜日は株安になりやすいと言われるアノマリーです。
市場が休場となっている土日の間に悪材料が出ると、月曜日は過剰に反応し、売り注文が通常より入りやすい傾向があるため株安に働くと言われるアノマリーです。
月曜日の株安を解説!
月曜日の株安は、日本では多くの教本などで注目されるアノマリーの一つですがデータの裏付けがないアノマリーで、銘柄によっても話が変わってくると言われているため、決して信じてはいけません。
休場の間に悪材料が出れば、開場した際に株価が下がるというのは基本的には当たり前の話なので、アノマリーでもなんでもない理由のこじつけです。(*悪材料で株価が必ず下がるとも限らない)
しかし、次に「月曜日の株高」というアノマリーをご紹介いたしますが、休場の間に好材料が出れば、当然株価は基本的には上昇します。「月曜日の株安」と「月曜日の株高」の両方のアノマリーが存在するため、基本的には注目しないほうがいいアノマリーと言えるでしょう。
②月曜日の株高
月曜日の株高アノマリーは、月曜日の株安アノマリーと対になるアノマリーです。その名前の通りで、月曜日は株高になりやすい傾向にあるというアノマリーです。
前項で説明した「月曜日の株安」と同じで、休場の土日の間に好材料が出て場合、開場した月曜日には市場が過敏に反応し、株価が上昇しやすいと言われています。
また、月曜日が1週間のはじめであることから「節目」として意識されるため、長期投資家などが株式を購入する際に月曜日を選択することが多いのではないかとも言われています。
月曜日の株高を解説!
月曜日の株高アノマリーは、あまり着目をすべきアノマリーとは言えないでしょう。月曜日に株が上がるか下がるかなんて誰にも分からないですね。インターネットが発達した現代ではPTSなどの時間外取引もありますし、土日もオープンしている相場や市場も増えてきたため、月曜日は〇〇といったアノマリーはひと昔前の世代で利用されていたアノマリーがそのまま受け継がれているといっても過言ではありません。
しかし、月曜日の相場は休場明けで過敏に反応する可能性があることは念頭に置いておくべきでしょう!
③ 水曜日のスワップ
FX相場に置いて、スワップ金利は毎日付与されます。
マーケットが休場となる土日のスワップがまとめて付与されるのが、水曜日なのです。
そのことから、水曜日の深夜から木曜日の早朝にかけて、低金利の通貨が売られ、高金利の通貨が買われやすい傾向にあると言われているのが「水曜日のスワップ」アノマリーです。
水曜日のスワップを解説
「スワップ金利投資」という投資法もあるくらい、FXにおいてスワップは大切な要件の一つです。「水曜日のスワップ」アノマリーによって、必ず低金利の通貨が売られて高金利の通貨が買われるといったことはありません。しかし、そのような傾向になりやすいというのは、水曜日にスワップが付与される以上事実と言えるでしょう。
デイトレード〜1,2週間のスイングトレードをベースとしたトレードを行なっている場合は、水曜日のスワップは参考にすべき要綱の一つと言えるのではないでしょうか。値動きベースのトレードをしている場合は、あまり関係がないので気にする必要はないかもしれないですね!
④ 魔の水曜日
SQ値(スペシャルクオテーション値)の算出がある週の水曜日は、相場が軟調になりやすいと言われています。
裁定によるSQの効果で取引量が増えやすい市場ではボラティリティも通常より高まりやすい傾向にあります。また取引量の増加に伴って、週の中ほどである水曜日に現物の裁定売が増えて軟調になりやすいと言われています。
魔の水曜日は日本でよく取り上げるアノマリーの一つで、海外ではあまりメジャーなアノマリーではないようです。
魔の水曜日を解説!
魔の水曜日は、現代の相場においてあまり注視の必要なアノマリーとは言えないでしょう。不特定多数の人が市場に参加できる現代では、水曜日に何が起こるか、水曜日に他の投資家がどのような行動をとるかは誰にも分からないため、水曜日だから上がりそう、下がりそうと議論すること自体が間違っています。
水曜日は週の真ん中ということもあって、サラリーマンの中には憂鬱に感じている人がいたりして、この「魔の水曜日」がネーミングインパクトもあり、日本でアノマリーとして広まったのではないでしょうか。
⑤ジブリの法則(金曜ロードショーのアノマリー)
ジブリの法則というアノマリーが、近年日本の市場でささやかれています。「ジブリの呪い」「バルス相場」などと言われることもあります。
「ジブリの法則」とは、スタジオジブリの製作したアニメが金曜ロードショーで放映されると、その夜あるいは翌週の月曜日に相場が急変動し、日本の株式・FX市場に大きな影響を与えることが多いというジンクスのことを指します。
金曜日は米国の雇用統計の発表があることや、月曜日に伝わる休日明けのアノマリーがあるように、相場が急変動しやすいのが金曜日なので、このようにささやかれることになった理由は偶然だと言われています。
ジブリの法則を解説!
ジブリの法則はあまりにもおかしなアノマリーですが、日本では結構広まっているので、ジブリの法則を意識して動く市場関係者も多いと報道されたこともあります。
インターネットのSNSや掲示板などで最近は結構騒がれているので、びっくりして金曜ロードショーのジブリで売買をしてしまう個人投資家も少なくないのではないでしょうか。根拠はありませんが、現段階では日本の市場で意識されていることは間違いありません。
特に日本の個別株式を扱っているのであれば、知っておいて損はないアノマリーですね!
⑥ゴト日
ゴト日(5と10)のつく日には、日本時間の9時55分に向けて、円安ドル高に動きやすいと言われている日本の為替のアノマリーです。
5と10の付く日は、日本の企業では支払い日として設定することの多い日です。輸入企業は取引先への支払いをドル建てで行うことが多いので、支払いと両替のための円売り・ドル買いが起こりやすい傾向があると言われています。
身近なところで言えば、給料日が5日、15日、25日に設定されている人も多いのではないでしょうか。日本企業が支払い日としてなぜかよく設定するのが、月末に次いで5の倍数の日なんですよね。
企業がたくさん支払いでドルを使うため、金融機関のドルが減少して、金融機関はドルを買います。それでドルの需要が増加し、円安ドル高に進みやすいというわけですね!5日が土日の場合は前倒しで、4・14・24日、3・13・23日がゴト日になりますね。
ゴト日を解説!
ゴト日のアノマリーはあくまで参考にはなりますが、そこまで気にする必要はないでしょう。なぜなら、企業がどのタイミングでいくら支払うのかなんて分からないからです!また、企業がドルを使ったからといって、必ずしも金融機関がドルの買いを入れるかといったら、そんなこともないですよね。
とはいえゴト日は決済日として指定されることが多いので、あくまで参考程度に知っておいて損はないですね。
⑦TOM効果(トム効果,月末月初のアノマリー)
TOM効果(Turn of the Month Effects)は、月末に向けて株安になりやすく、月末から月初の間は株高になりやすいと言われるアノマリーです。
Turn of the Monthは、日本語に訳すと「月変わり」になり、月末・月初の数日間を意味しています。長期間に観察された株式市場では、月末月初の数日間に上昇する傾向が強いというデータが出たため、このTOM効果がアノマリーとして注目を集めました。
2009年には英国金融大手のバークレイズ銀行の傘下の運用会社が、「TOM運用日本株式ファンド」を作ったくらい注目度の高いアノマリーの一つとなっています。
TOM効果を解説!
TOM効果は、アノマリーの中では注目しておきたいものの一つです。あのバークレイズの傘下がファンドを立ち上げて、「TOM運用」として実際に資金を運用していたのですから、着目せざるを得ませんね!
ただし、TOM運用を行う上で重要なのは「月末月初に買えば必ず上がる」というものではないということです。「月末月初に適切な銘柄に適切な買いを入れれば、上がりやすい。」という思考方法が適切ですね!
ぜひ、過去のチャートなどを参考にしてみてください。
アノマリー手法は勝てる?勝てない?
一般的には、いわゆる法則や理論から合理的な説明ができない現象が「アノマリー」です。このアノマリー手法を利用したら勝てる、利用しなかったら勝てる、というのはどちらも間違った考え方です。
なぜなら、合理的な説明ができない現象を利用して売買をしてしまっている時点で、それは勝てるトレードではなく、ギャンブルになってしまうためです。
しかし、アノマリー手法は多くの投資教本などで紹介されていることからも、多くの投資家が共通認識を持っている事案ではあります。少なからず相場のファンダメンタルズに影響を与える要因の一つであることは間違いなでしょう。
以上を踏まえ、「アノマリー手法」はあくまで、相場のファンダメンタルズを左右する一つの要因として頭の片隅に入れておく程度が理想的でしょう。